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いけのさい~子育てと教育の一隅を照らす


「ありがとう!」で終わる人生を目指して、日々のことを振り返り、そして、これからのことを考える。
by ikenosai
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私を育んだもの3分の2


(作品展に寄せた絵と詩)



私を育んだもの3分の2_e0148909_2256714.jpg


 小学校に入学して間もないころ、「青い山脈」という唄を口ずさむ上級生に合わせて私も口ずさんでいた。


 いつも眺めていた中国山脈とこの唄が私の中では重なっていた。


いつかあの山を自分の力で越えていきたいと夢見ていた。

そして、高校1年の時自転車であの山を越えて鳥取砂丘まで出掛けた。


 この土地が私を育み、今がある。


 私の原点、私の故郷の原風景。 


岡山県津山市郊外・・・


 手前の里山までに中国自動車道、JR線、国道がある小さな集落






 「 花嫁さん 」(私のお母さん)

                                  
  生まれ育った南宇和の漁村から瀬戸内海を渡り日本海側の浜田漁港に引っ越し、最初は近所の缶詰工場で働いていましたが、大阪の親戚の店を手伝うため家族のもとをはなれ、ひとり大阪にいきました。


 お店にもすっかり慣れていたある夜、常連の男の人がやってきて、
明日、田舎に帰るんだが、できればあなたをつれて田舎に帰りたいと話したのです。


花嫁さんは迷うことなく荷物をまとめて、一緒に汽車に乗って田舎に行きました。


大晦日の夜でした。


突然、花嫁がやってきて、みんなはびっくりしました。


代々続く忙しい家で、えらいところにお嫁にきたと思ったことでしょう。


 一年ほどしてお姉さんが生まれ、それから一年半して私が生まれました。


がんこなおじいさんやわがままなおばあさんにも負けずにがんばっていましたが、耐えられなくて、お姉さんと私をつれて、いくあてもなく家出をしたことがありました。


それでも私たちの幸せを考えてくれた花嫁さんは覚悟をきめて、お父さんの待つ田舎にもどったのです。


慣れない土地で大変でした。


それでもその土地に慣れようと一生懸命に生きました。



私が幼稚園のとき、がんこなおじいさんが病気で亡くなりました。


わんぱくでいたずらばかりしていた私はいつもみんなに迷惑をかけていました。


あやまりにいくのはいつも花嫁さん(母)。


「息子がご迷惑をかけてすんません。」といつも頭をさげてばかりでした。


私が中学二年生のときおばあさんが寝たきりになってしまい、そこから介護の生活が三年間続きました。


来る日も来る日もおばあさんのお世話です。


ご飯を食べさせて、体をきれいに拭いてあげます。


床ずれやオムツかぶれがあると、どくだみの葉っぱを乾かし、それを煮出したお湯を体に塗ってあげました。


おばあさんは花嫁さんに文句ばかり言っています。


嫁は信用できないと言われても、いつもやさしくお世話しました。


あいまを見て家々の電気メーターを見る仕事をして家計を支えていました。


おばあさんが亡くなる少し前、おばあさんがわがままばかり言うもんで、花嫁さんはとうとうおばあさんと言葉でけんかをしてしまいました。


私から見るとおばあさんが悪かったと思います。


それでも亡くなる直前で仲直りしました。


夏の終わりの暑い日でした。


おばあさんが亡くなった数日後は花嫁さんの四十一歳の誕生日でした。


お姉さんとお金を出し合ってケーキを買ってささやかにお祝いをしました。



私が高校を卒業するころ、花嫁さんはヤクルトの配達のお仕事を始めました。


配達で地域の情報を知り、私によく話してくれました。


山あいに住む一人暮らしのおじいさんやおばあさんの家にもヤクルトを配達しました。


三輪のバイクで毎日毎日配達にいきました。


そのうちいろいろな人の悩みや相談を聴くようになりました。


みんな花嫁さんが来るのを楽しみにしていました。


いつも買ってくれていたおじいさんやおばあさんが亡くなると葬式にいきました。


私が田舎に帰省していたとき、近くの駅まで花嫁さんが見送りにきました。


たまたま居合わせたおばあさんが「あんた、ヤクルトさんの息子さん?」とたずねてきました。


私が返事をすると「いつもお世話になっとります。」と花嫁さんに親切にしてもらっていることを話してくれました。


私は嬉しかった、花嫁さんがみんなに好かれていて。


花嫁さんはみんなに親切にして、みんなから頼られていました。



花嫁さんが私の家にきてからたくさんの人が亡くなりました。


花嫁さんはいつもみんなのいる仏壇に手を合わせ、ご飯や水をお供えし、線香をたき「なんまんだ、なんまんだ・・・」と唱えます。



お嫁にきてからもう五十年が過ぎました。


南宇和から浜田に移り住んだ花嫁さんの両親も随分と前に亡くなりました。


もう帰る場所もなくこの岡山の中国山脈のふもとで静かに暮らしています。


花嫁さんがいないとみんなが困ります。


親戚の人たちも困ります。


近所の人たちも困ります。


お父さんをはじめ一族を天国に送り、長い年月をかけて花嫁さんはこの土地の人になっていったのです。



花嫁さん、ありがとう、私の家にお嫁にきてくれて。


花嫁さん、ありがとう、私を産んでくれて。


私の大切な、大切なお母さん・・・、いつも、いつもありがとう。 





以下はおまけ(作品展にはない画像)

私を育んだもの3分の2_e0148909_09342407.jpg



私を育んだもの3分の2_e0148909_21310464.jpg



私を育んだもの3分の2_e0148909_21373445.jpg




私を育んだもの3分の2_e0148909_21365020.jpg
 母を思う曲へクリック→ https://www.youtube.com/watch?v=4_OKI91h3tw

      もう一曲→ https://www.youtube.com/watch?v=yCZFof7Y0tQ


今日、3月1日は今は亡き父の誕生日。
「私を育んだもの3分の2」
残りの3分の1は、大きくて優しい父でした・・・。


















by ikenosai | 2018-03-01 08:52 | お父さんお母さん | Comments(6)
Commented by shata3438 at 2018-03-02 19:50
こんばんは。
グサッとくるお話です!
Commented by ikenosai at 2018-03-02 22:02
> shata3438さん
コメントありがとうございます!
最後までご覧になったのですね・・・。
ありがとうございます・・・!
Commented by zakkkan at 2018-03-04 09:23
なんだか・・ふと・・思い出ボロボロ
そして、しんみりと、暖かな水滴が、目からこぼれました

母を思い出す私には
苦々しい思い出があった筈なのに
亡くなって5年
不思議なんですが、数少ないいい思い出を
頭に灯が灯されたように出てきます
Commented by mamako48722 at 2018-03-04 21:54
おはようございます。黃葉(もみじ)です。

良いお話聞かせていただきました。
一人ひとりの人生はドラマ、皆んなそれぞれのドラマが有りますよね。

私の母にも波乱万丈の人生ドラマが有りました・・
皆んなそうやって子育てをし、命のバトンタッチをして行くのですよね。
Commented by ikenosai at 2018-03-05 08:37
> zakkkanさん
コメントありがとうございます!
お母様との善き思い出が回想されて善かったです。
私も嬉しくなりました。
ありがとうございました。
Commented by ikenosai at 2018-03-05 08:46
> mamako48722さん
コメントありがとうございます!
母のかがやきを残しておきたくて、感謝の思いから書きました。
それにしても、母となり子育てをするのは大変だと思います。
そんな一隅から垣間見た小さなドラマに感謝があり仕合わせがあるのだと思います。
いただいたコメントに心より感謝申し上げます。
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