いけのさい~子育てと教育の一隅を照らす


「ありがとう!」で終わる人生を目指して、日々のことを振り返り、そして、これからのことを考える。
by ikenosai
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さくら咲くころ

 今日は春のお彼岸!

昨年4月30日に天国へいった父を思い、そして、まる5年経つ義理の母を思う。

今日は、これからお寺に出かけ、彼岸会にて、父、義理母、そして我々ご先祖の供養へと・・・。


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 もうすぐさくらが咲きそうな感じがする。

近くのモノレール車庫の敷地にもたくさんの土筆が土の中から出てきている。

この1枚の写真は、立川の災害医療センターのあたりから見えるモノレール。

さくらとのきれいなショットが今では幻に・・・。

私が撮影したお気に入りの写真。


今、桜並木の向こうには、大きなIKEAの建物があり、モノレールは見えない・・・。









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# by ikenosai | 2017-03-20 08:29 | お父さんお母さん | Comments(2)

第7夜 新月に片思い


第7夜 新月に片思い


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 仕事を辞め、大好きだった彼女にもふられ、東京でのことをあきらめて、田舎に帰ってしまった。

東京での失恋の痛手は大きかった。

それでも希望につながるものを求めていた。

いろんな人の力を借りて就職もした。

みんなは東京帰りの僕を新顔としてコンパに呼んでくれた。

そして、同世代の独身の女の子たちを次々に紹介してもらった。

20代中盤の僕にもまだまだチャンスはあって何人かと付き合ったが数ヶ月も経てば自然消滅していた。

それでも、夜遅くに遊びに行って朝まで一緒に過ごす女の子もいた。

僕なりに真面目に付き合おうと思っていても、相手の方がその程度の気持ちだったのか、途中で虚しいものを感じることもあった。

田舎に戻って驚いたことがあった。

それは、こんな田舎でも、さらに地方からやってきて一人暮らしをしている女の子が何人もいたことだった。

そんな中で一人の女の子と知り合い、ある日の午後に海までドライブに誘った。

夜勤明けの彼女は助手席でずっと眠っていた。

初夏の平日で誰もいない海に出かけた。

テーブルを出し、パラソルを立てると、彼女はテーブルにうつ伏せて、幸せそうな表情で僕を見た。

僕は、遠い昔に別れてきたかつての恋人の笑顔を取り戻したかのような気持ちになって、何だか嬉しくなった。

しかし、僕への恋愛の気持ちは彼女にはなさそうだった。

それでも僕はしたたかに時を待っていた。

夕日はすでに落ち、曲がりくねった海辺の道を何キロもドライブしていくうちに、広い砂浜に出た。

暗闇の砂浜は遠くの漁火が反射して何とか自分たちの位置が確認できる明るさだった。

さざなみの音を聞きながら海に向かって腰をおろしていた。

不倫を続けていた彼女の心の隙間に必死で入り込もうとしていた。

大人ぶった彼女が僕のことを嘲笑うかのようにあしらっているのが会話の節々から伝わってきた。

それでも僕はどうにか彼女の心を掴もうとしていた。

 成就しない不倫の虚しさは彼女にはなく、僕とは違う世界の人間だとあきらめかけていた。

彼女はブラウスに長いスカートのまま裸足になって砂浜を歩いている。

ふくよかな胸が不倫相手の性のおもちゃのようにさえ思え、切なかった。

手を握ってもそれ以上先には進めず、スレた女を気取っていて、如何にも遊び人で大人の世界を知っているのだと言わんばかりのような感じに僕には見えた。

あの大きな胸に顔をうずめ、彼女と普通の恋愛をしたかった。

しかし、次第に消極的になり、とうとう僕はうぶなチェリーボーイのように彼女にあしらわれたままなす術がなかった。

こうなっては彼女の恋人には昇格しない。

半分あきらめの境地になっていた。

帰りの車の中でもそれは続き、そして、とうとう彼女のアパートに着いてしまった。


 やっぱり駄目だとあきらめて、車から降りていく彼女を見ていた。

すると彼女に「お茶でも飲んでいく?」と部屋に誘われた。

小さなアパートには不自然なダブルベッドが部屋の半分を占めて存在していた。

ここであの男と情事に至っているのだと思うと去年まで女子大生だったあどけなさと裏腹に現実は穢れてしまっている肉体とのギャップに寂しさを感じてしまった。

それでも不思議なことに、どうにか彼女を好きになろうともしていた。

少し心配な表情で彼女の気持ちを引く言葉を必死で考えていた。

そうしているうちに彼女の心の隙間にすっぽりと入り込んでいったのか、その夜のうちに一線を越え、彼女の体に触れたまま朝を迎えた。

彼女と過ごしていると切なさが増し、彼女への悲哀の思いが増大していった。

あれだけ遊び人に見えていた彼女は、今の不倫相手とが初めてで、それ以来、その男一人しか経験していなかった。

僕は、成就しない淫らな恋愛を普通にしている彼女に汚らわしさを感じ、穢れた女として見ていたにもかかわらず、その肉体を貪っている自分に後ろめたさを感じていた。

激しい交わりを何度も重ね、欲望を満たすために何度も何度もそれを繰り返していた。

しかし、若さからか何度も何度も回復しては朝までそれを繰り返した。

愛人をしているあの男にとってこんなに都合の良い女はいないだろうと感じながら僕はしなびた干物のように力尽きて彼女の部屋を出て行った。

ふくよかな肉体をさらに強調している豊満な胸が一晩中僕の欲望を覚醒させ、その強い感覚が何日も頭の中から離れなかった。

そして、数日後には欲求が増大し、我慢できなくなって、とうとう彼女に電話して、あの男のいない夜に訪問し、大きなベッドの中で彼女の肉体を貪っていた。

滾滾と湧く欲望を抑えきれなくなってしまい、一週間のうちに何度も会いに行った。


 彼女は僕と愛人を使い分けていた。

そして、僕より10歳も年上のあの男のことを本気で好きだと話した。

奥さんも子どももいるあの男にとってはもう一つの家のようになっていた。

約束がとれない日に、彼女のアパートの前を通ると必ずあの男の車が停められていた。

今がまさに情事の最中だと思うと、いい加減な気持ちでいたはずの僕はジェラシーを感じつつも早く本命の女を見つけなければというずるい男になっていた。

そして、あの男がいない夜には僕から連絡をして彼女と朝まで交わっていた。

彼女は連日どちらかの男と一晩中過ごしていたことを思うとどんな気持ちで僕の体を受け入れているのか不安だった。

しかし、時には彼女から不安そうに電話をかけてきて、僕が一晩中慰めるような日もあった。

不安そうに将来を見据えたあの眼差しに僕は同情し、必死で彼女が喜ぶことを模索し悩んでいた。

それからも、何度か真剣に付き合おうと誘ってみたが、最後にはあの男のことを捨てられないと話し、あの男への情の深さをまざまざと思いしらされてしまった。

そして、僕は別の彼女と付き合い始めていたのに、ときどき彼女のアパートに遊びに行くと、いつもどおりのコースで朝まで交わり合う関係が変わらず続いていた。

そして、嫉妬もしない彼女が結局は僕にとっても都合の良い女になっていた。

それでも僕との交わりが減った分だけ時間ができ、その隙間にさらに新しい男が入り込んでいた。

ある日、その存在を淡々と僕に話したときに彼女は僕にとって永遠の2番目の女としてその地位を確定させてしまった。

そこからは、飲んだ夜も、ただ欲望を満たしたいだけの夜も躊躇することなく連絡して、先約がなければただ好きに交わって帰ることもあった。

彼女は僕にとっての2番目だったが、彼女にとっての僕も2番目かそれ以下だった。

それでもあの豊満な胸に顔をうずめて激しく交わる日は間隔こそ広がってはいたが、続いていた。


 その後、僕が再び上京して会えなくなっても、手紙を送ってきて、僕が帰省するたびにいつものように会っていた。

それから、さらに1年くらい経って連絡が途絶えた。

そして、とうとう音信不通になってしまった。

彼女を知る人からの話で、彼女はあの愛人が横浜に単身で転勤になったとき、全てを引き払ってついて行ったという事実を聞き、前世からの縁なのか、腐れ縁なのか、男女の不思議な関係が現実にあるのだということを思い知らされた。

それから僕は、一人の人しか愛さないことを心に誓った。

そして、彼女を永遠の2番目の存在にしたまま終止符をうった。


 初めは穢れたものとしてさげすんでいたはずのあの時の彼女を懐かしく思い、今でも暗い砂浜に立つとあのころの彼女を思い出すのである。

特に新月のような暗い日は懐かしくあのときの海を思い出す。
潮風に吹かれながら漁り火に照らされていたあの日のことを。

そして彼女のことが好きだったのだということに気づかされる。

何も伝えられず離れていったこと。

そして、僕の記憶の最後ではあの男のところに行ったままになっていること。

果たして彼女は今、どうしているのだろうと気になり、どうか幸せに暮らせていますようにと祈ってしまうのである。


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# by ikenosai | 2017-02-25 23:55 | 恋別離苦(短編集) | Comments(0)

慌ただしい1月・2月のできごと!

1月29日は息子の誕生日(12才)!

休日だったので夕食作りができました!




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シラスとダイコンのサラダ


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豚フィレ肉の香草焼き


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エビのペンネ



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アサリと水菜のパスタ(ラーメンの太麺)


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デザート(これは買いました)







2月19日も休日だったので夕食作りができました!
(今日はマグロづくし)

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マグロのカツレツ



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マグロのグリル(塩、胡椒)


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マグロで酢豚風







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 本当なら今日は息子の少年野球チームの卒団式の予定でしたが、先週末の学校給食でおこった集団食中毒でそろわず延期に。

ニュースでは800人以上にものぼる感染者。

お替りをした息子は平気でした。

卒団の記念に私が作ったユニフォームの刺繍。

背番号12番の小さな背中。

最初にいただいた思い出の番号を記念に残したくて作りました。










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# by ikenosai | 2017-02-19 20:25 | 食べること | Comments(0)

第8夜 消えた花火


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第8夜 消えた花火

 碧い海を砂丘のいちばん高いところから眺めていた。

やっと登りきった高い場所で汗だくになって海を見下ろしていた。

そして、久しぶりに見る日本海の碧き海に微睡んでいた。

海の大きさに見とれ、そして、何をやっても生きていける、そんな大きな気持になって水平線の彼方を眺めていた。

飽きることのない碧き海にすべてをゆだね、もうどうでもいい、なるようになる、そう思って急な斜面を駆け下りて、勢いよく海に飛び込んだ。

熱狂的な感情に襲われ、叫びたくなって、そして、何度も叫んでは海に飛び込んだ。

海の中は、うっすらとした青さが遠くまで続き、その先には小さな魚の群れが見える。

ときどき浅瀬にやってくるボラたちが必死で泳いでいる。

どこまでも続く砂と透きとおる水、そしてその彼方にある碧い海。

海の中の世界は上から見下ろしていた碧い海とは違っているのに、どちらの景色も美しい。

その中にいるだけで生きている実感と、幸福感からか歓喜がこみ上げてくる。

一緒に来た友人と狂ったように海に潜り、何度も何度も魚の群れを追いかけていた。

海が橙色に変わるまで僕たちは魚のように泳いだ。


 漁火が空の明るさを上回り、やがてその明るさしか見えなくなった。

海辺のカフェで時間をつぶしていた。
店には昨晩も来ていた二人組の女の子がいたので花火を一緒にしようと誘った。

暗闇に上がる花火の強い光をたよりに何度も表情を確かめては小さな駆け引きをしていた。

やがて、ふたつのカップルに分かれた。

それぞれのカップルが別行動になり、僕たちは砂丘に駆けだした。

僕は彼女の手を握り、砂丘のいちばん高い場所に連れて行った。

高い場所からは、暗闇の中の海に浮かぶいくつもの漁り火が、微かな明るさを届けてくれる。

その明るさは、僅かに僕たちの存在が確認できる程度の明るさだった。

反対の空を見上げると、手の届きそうなところに数え切れないほどの星が散らばっている。

その星と海から差し込む漁火が幻想の一夜をつくり、それだけで開放感に包まれ、僕たちは無意識に向かい合い、砂の上に座り、抱き合った。

引き寄せられるように体と体を重ね合わせ、抱き合っていた。

心地よい風が強く砂を巻き上げ、僕たちの体に当たっては下に落ちていた。

唇を重ね、お互いの心の内側にまで入ろうと、息を荒立て、押さえられない興奮に戸惑いながら、風の中で強く抱き合ったまま星空に包まれていた。

奇蹟のような一夜が白々と明け始めていた。

僕は、朝が来るのが怖かった。

必ず朝が来て、しばらくしたら彼女は夢から覚めて、恋が終わると思っていたから。

たとえ、僕が覚醒したままでいても、現実は離ればなれになり、一夜の記憶でしか残らない。

一瞬にして消えていく恋の終わりを予感し、憂鬱な感覚におそわれていた。

一夜のアバンチュールに酔い、名前も知らないまま、過ごしていた彼女がドライアイスのように、僕の熱で小さく、小さくなっていくのを感傷的に受け入れるしかなかった。

もう、夏が終わる。

僕の夏がもうすぐ終わる。

そんな感覚で立ち上がり、陽炎のような儚い恋を感じていた。

瞬きのうちに現実が消され、儚さだけしか記憶に残らない。

自分が獣のようにさえ思え、理性を失って一夜の恋に微睡んでいる。

夜明けとともに、ふたたび合流し、交わす言葉も少なく、ぎこちない。

そして、彼女たちの泊まっているペンションまで送りとどけ、別れてきた。

たとえ、一夜の恋人であっても、永遠の恋人のような眼差しで意味深な目配せをするものの、何も言えなくて、さらっと別れてきた。

 男同士になり、しばらく無言だった。

それぞれが、陽炎のような一夜の恋を胸に閉じこめて、語り合うこともしなかった。

だから、今日まで僕も黙っていた。

彼女にまた会いたい。

僕はそう思い、そう願っていた。

 ポカンと穴の空いた心のまま一週間が過ぎ、さらにもう一週間が過ぎた。

違う友だちに誘われ、あの海に行き、砂丘のいちばん高い場所に座っていた。

海を見下ろすと、あのときの僕たちの光景に似た、若者たちが楽しそうに海で遊んでいた。

ああ、僕の恋は終わったのだ・・・、あの日の朝に・・・。

陽炎のように消失したのだと思い、ぼんやり若者たちを眺めていた。

 どこか聞き覚えのある弾んだ声に、一瞬、ハッとなった。

そして、その声の女の子をよく見てみた。

楽しそうに男の子と手をつなぎ海ではしゃいでいた女の子は、あのとき一夜をともにした彼女だった。

陽炎のように儚くも、大切にしていたはずの記憶が粉々にされてしまい、僕は、思わず、後ずさりして、その場所から立ち去ってしまった。

太陽がギラギラと照りつける熱い、熱い砂の上で、汗だくになっていた。

赤道直下に落ちた砂漠のミイラのように、僕は渇ききっていた。

僕の心は渇ききってしまって、そして、潤わない心のまま、この夏が終わるのを覚悟した。

気が付けば、必死になって、その場から逃げていた。

一夜の恋など成就するはずがない。

僕は、何度も何度も自分に言い聞かせていた。

いや、慰めるように心の中でつぶやいていた。

それでも、あの夜の出来事は嘘ではなかった。

そう信じて、残りの夏を過ごしていた。

今年はもう、海に行ってはいけない、絶対に行かないと心に決めて・・・。




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# by ikenosai | 2017-02-04 22:49 | 恋別離苦(短編集) | Comments(0)

第10夜 初恋


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 新しい春の風に吹かれていた。

まだ、12歳の僕はふわふわとした感じで学校に通っていた。

野球部に入ろうか、サッカー部に入ろうかと思っていたのに、何だか自信がなくて、結局は誰も踏み入れていない新しいものを求めていた。

負けず嫌いなくせに自信がない。

しかも、全校生徒は千人もいる。

力に差がないと思ったのでバレー部に入った。

そして、覚悟を決めて丸刈りにした。


 最初の数ヶ月は、見込みがあると思われたので気合いが入った。

先輩たちは強く、地区でも優勝するチームだった。

体育館を2つに仕切るネット越しに、女子のバレー部の練習が見える。

女子も強かったので、顧問の先生も協力し合って、強化練習をやっていた。

月曜日から土曜日まで部活はあった。

土曜日は、顧問の先生の車の洗車が1年生の練習メニューに組み込まれていた。

モップの太い棒をしごき用の棒に細工して、時々生徒のおしりを叩いていた。

怖くておっかない顧問の先生。

それでも、どこからとなくこみ上げてくる愛情を僕は感じ取っていた。

この先生に気に入られたら、きっと強くなる。

そんな錯覚さえもあった。

顧問の先生は絶対的な存在、つまり、神様のような存在だった。

練習着はまだ体操服だったので、学年もクラスも名前も分かった。

1年生の女の子も全員分かった。

いつも気になる女の子。

ぱちりとしたやさしい目に僕は心奪われ恋に落ちた。

一方的な僕の思い。

寝ても覚めても、彼女のことばかり。

ノートのはしに漢字や覚えたてのアルファベットで名前を書いたりして、授業中は上の空。

放課後は、誰にもばれないように彼女を探し、眺めていた。

恥ずかしくて、僕ひとりの中にその思いを閉じこめては、あの笑顔を思い出し、恍惚になり、思春期特有の発作に襲われていた。

 もう、彼女しか見えない。

電話をかけて、彼女が出ても、そこから何も言えなくてこっちから切ってしまう。

恥ずかしくて恥ずかしくてどうしようもない。

片思いだけが何倍にも膨らんでいく。

そんな日が何日も続いていく。

そして、切なさだけが膨らんだ状態で残ってしまう。

切なさをかき集めて、僕は手紙を書いた。

好きで、好きで、大好きで、もう止まらない、彼女への思いを手紙にしたためた。

手紙は郵便で出した。

必ず届いて欲しいという気持ちからか、切手を2枚貼って、2倍の料金で出した。

投函した日は、彼女を見かけても、まだ、大丈夫だった。

しかし、2日、3日と経って、不安になってきた。

しかし、手紙を止めるわけにはいかないので、とうとう覚悟した。
3日目に彼女と目があったとき、いつもと違う感じがした。

手紙が届いたのだろう。

それでも、僕はそのことに触れることができず、ためらったまま、何もできないでいた。

何日も、何日も過ぎて、段々とそんな不安な感覚、切ないままにいることに慣れてきた。

切ない夜を何日も集めて、センチメンタルな夜を膨らませ、その感覚に酔いしれていた。

自分の世界に閉じこもり、世界で一番センチメンタルな少年になりきっていた。


 秋から冬にかかるころ、試合がないオフシーズンに入った。

張り合いもなく、連日続く、筋肉トレーニングにうんざりし始めていたころだった。

僕は、不良の仲間に加わり、部活をサボり始め、放課後の街に繰り出していた。

一度、たがが外れると、もう後は落ちるところまで一気に落ちていった。

先輩に呼び出され、部室に行くと、殴られた。

それも、休んだ日数分殴られた。

泣きながら、練習に加わるが、ついて行けず、次の日は結局サボってしまった。

遠目に見えていた彼女の様子が、僕とは裏腹に充実している。

僕は、自分でだめな奴の烙印を押してしまった。

とうとう先生に呼ばれ、殴られた。

あれだけ車を洗ってやったのにという、恩着せがましい思いがあったが、どうしようもなくこみ上げてくる僕の不穏な感覚は、結局のところ、自業自得でこうなったのだという自分の不甲斐なさから、やがて懺悔の思いへと変わっていった。

それでも、先生は僕を心配してくれていた。

やっぱり、神様だった。

時々、家まで会いに来てくれた。

これまで結局、かっこ悪い僕だけしか彼女には見せていなかった。

もうその後に成就することはないとあきらめた。

そうしているうちに、僕はバレー部をやめてしまった。

 それでも、何かやったらどうかと、親に進められ、卓球部に入った。

学校では花形だったバレー部をやめてしまい、半分帰宅部がいる卓球部に入っても、きっと続かないだろうと自分では思っていた。

それでも、不良から足を洗っていたので、暇だった。

2年生の初夏、3年生が引退したので、僕は先輩にしごかれることもなく、自分たちの時代を迎えた。

練習は、誰にも制限されなかったので、毎日行って、見る見るうちに力を付けて、秋の大会にはレギュラーになった。

それでも時々横目にバレー部の練習を見ていた。

やっぱり、彼女は可愛かった。

ずっと変わらず、僕の憧れのままだった。

僕は去年より10センチ背が伸びた。

彼女は、去年より大人びてきた。

走ると胸がゆらゆらと揺れて、くびれた腰からお尻にかけてのシルエットに僕は目のやり場に困ってしまう。

本音は、誰もいないところでずっと見ていたかった。

何だか僕だけが子どものまま置いてけぼりにされている、そんな感じがしていた。

しかも、バレー部をやめてしまって、根性のないヘナヘナな男にしか見えていなかっただろう。

それでも、彼女がずっと好きだった。

その思いは以前からずっと変わりなかった。

帰宅部だけにはならないまま、試合にも出ていた。

それでも、ずっと地味なままの卓球部だった。

それに引き換え、女子のバレー部は、地区大会を制覇し、彼女はその中でもレギュラーだった。


 3年生になって、彼女と同じクラスになった。

しかも、男女で遊ぶ同じ仲良しグループに僕も彼女もいた。

あのまま返事の来ていない一方通行の恋文は僕と彼女だけの秘密のままだった。

切なかったが、あの1年の時よりもその感覚は薄れていた。

それでも、彼女と話すとき、あのかわいい眼差しにどきどきしていた。

同じグループで話したり、遊んだりして成就しない恋ではあったが、敗者復活戦で上位入賞したくらいの嬉しさはあった。

あのとき、告白していなかったら、今こそ告白して成就したに違いないとも思ったが、やはり、何の取り柄もない僕だけに、よくよく考えると、恋人に昇格はしないだろうと思い直した。


 3学期になって、いよいよみんなの進路が見えてきた。

僕は県立高校と滑り止めに私立高校を受験した。

彼女は、バレーの特待で僕とは違う私立の高校に行くことになっていた。

卒業式が終わって、春休みになって、みんなで遊ぶ日が何回かあった。

しかし、彼女は一回も来ることなく、新学期が始まった。

結局、卒業式に会ったのが最後だった。

しかも、高校2年の途中で、父親の転勤で九州に転校してしまった。

いよいよ彼女は遠くに行ってしまった。

結局、あのときの恋文の返事は帰ってこなかった。

精魂込めて、何日もかけて、推敲した力作だったのに・・・。


 大人になってから、あのときの仲良しグループにいた女の子たちと飲んでいたときに、ふとしたタイミングで、当時の恋文の話を出したら、女の子たちはみんな知っていた。

なので、とっくに僕の失恋は決まっていて、僕より先にみんな知っていたのには赤面した。

それでも、彼女の思いに否定的な感じがなかったのか、今日までみんな黙って、一緒に楽しく過ごしていてくれていた。

僕は、もう会うことのない彼女に思いを馳せ、心の中でそっと「乾杯」をした。

僕が初めて恋した人に「ありがとう」って・・・。

(「恋別離苦」失恋小話より)








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# by ikenosai | 2017-01-15 12:11 | 恋別離苦(短編集) | Comments(0)