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9月7日(土)、息子と二人で「風立ちぬ」を観に行った。
恥ずかしながら、宮崎映画を劇場で観るのは初めてだった。
妻から笑われ、娘からはあきれられ、とにかく私のブームはいつも時代が去ってからやってくる。
勿論、DVDやビデオでは何度も観ている。
304億円の興行収益を出した「千と千尋の神隠し」ではモデルとして噂になった長野県上田市に行って研究したぐらいの気の入れようで、何度も別所温泉にも行った私。
宮崎監督が引退を表明され、やはり残念だと思った。
しかし、あの映画は、CGを駆使して作る今どきの映画ではなく、1枚1枚手作りで作る町工場のような大変な作業を要する。
それもあってだろう。
心身ともに憔悴し、老骨に鞭を打つような大変な作業が3年間も続いたのだと推測する。
この映画に篭めた思い、大人の捉え方が、これまでのジブリ作品とは大きく違っていた。
そして、この映画で登場するほとんどの人が善人で、人間関係のわずらわしさが出てこないのですっきりとし、心が洗われる感じで観終わる。
息子は「僕にはちょっと難しかった。」と話してくれた。
二郎の上司の黒川さんが良かったと言い、4人だけの厳かで小さな結婚式が良かったと話していた。
息子にとって難しかったところは、やはり恋愛の部分かもしれない。
二郎と菜穂子の急速に発展していく思い。
萌ゆる思いに共感し、涙を流した人が、特に年配の方々には多かったのではないかと思った。
パパは泣いていたね!と息子は言っていた。
宮崎監督は堀辰雄文学をこよなく愛しているのだと思った。
そして、いくつかの作品で、本当はこうしたいと思うところをいくつか集めて、この映画に託したのだと思う。
これは「風立ちぬ」だけでなく、「菜穂子」という作品とも重なるところがある。
宮崎映画のいちばん素晴らしいところはファンタジーだと思う。
想像する力、人の心の内を読む力が抜群だと思う。
私もこんな人間にならなくてはと思った。
そして、主役の二郎のような紳士に憧れている。
しかも、45歳にもなる中年が・・・。
本当のインテリはあんな人のことを言うんだろうなと感動している。
最後に、ひこうき雲について、ユーミンが高校生の頃感じて作ったとのこと。
同世代のカップルの飛び降り自殺と小学校時代の同級生が筋ジストロフィーという難病で亡くなったことに心打たれてのことだったと記されている。
この年代の筋ジストロフィーは本当に解明されない難病で家族の方たちがかなり苦労されたことを以前学んだことがある。
そのときの講師の方の息子さんは24歳でこの難病で亡くなっている。
ユーミンと同い年の青年である。
共に思うことは、人の命は長いから良い、短いから悪いということではないとつくづく思う。
誠を篭めて生きたかが重要なのだと思う。
そして、つぎの世代に“生きるに値する人生”を伝えていかなければと宮崎監督同様に私も願っている。
この映画はそれを強烈に感じさせてくれる映画だった。
最初で最後の「私の劇場で観たジブリ映画」の感想より。
皆様に“熱風”が届きますように!!
by ikenosai
| 2013-09-10 12:33
| 私的視点
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